愉快なケミストーリー

東京都足立区キリスト教の教会Sail of the Lord Church(セイルオブザロードチャーチ)の化学者Sによるブログ(ケミストーリー)です。

触媒について

こんにちは、ケミストSです。

 

身の周りのあらゆることを支える化学反応ですが、

相応の条件対価がないと起こらない、ということを説明しました。

(こちら

 

しかし!

その条件を(ほとんど)チャラにし、不可能であった化学反応をも実現する

ものがありまして。触媒なんですが。

 

1.触媒は、不可能を可能にする

いまの現代社会に不可欠である医薬品、液晶テレビなどのモノづくりは、

2010年にノーベル化学賞を堂々と受賞した、

触媒を用いた化学反応によって初めて可能となりました。

 

まさに、

「不可能を可能にし、世界を変えた化学反応」

です。

 

f:id:sailch-s:20200627175549j:plain

(まさに青いバラみたいな?) 

 

それ以前はなぜ不可能だったかというと、

「化学反応を起こすのに必要な条件が、あまりに大きすぎたから」

といえます。

むしろ、望まない別の化学反応が起こるのがオチでした。

 

触媒は、大きすぎる条件をほぼチャラにし、

欲しかったけど難しかった化学反応を実現しました!

 

(詳細が気になる方は、こちらが分かりやすいかと思います。)

 

 

2.触媒は、方法を根本から変える

なぜこんな芸当ができるのかというと、

触媒は、条件の小さい全く別のルートを切り啓くから

といえます!

 

たとえば、大航海時代にタイムスリップして、

新大陸を発見しなければいけない場合を考えましょう。

 

嵐で船が壊れる、漂流する、時間もかかる、、、

と、数多くの人がトライしてもダメで

不可能だと思われていました。

 

f:id:sailch-s:20200627212059j:plain

(ヘリコプターだと到着できました、の図)

 

これに対して触媒は、

全く別のアプローチをとりました。

例えば、ヘリコプターで行くみたいな!!!

(当時ヘリはないだろ!とかは言わないで。笑)

 

空から見下ろしながら、あっという間に見つけました。

 

このように触媒は、

化学反応の途中ルートを根本から変えることで、

できなかったことを実現します。

 

3.触媒は、くり返し行う

触媒の定義とは、

自身はトータルで変化せず、化学反応を仲介するもの

です。

 

反応を仲介する仕事の途中では

ものすごく反応性の高い姿に豹変するのですが、

(※「活性種」といったりします) 

 

役目を終えると元にもどり、また同じ仕事を繰り返します。

まるで、仕事を終えたらまたすぐに現場に戻る

ハードワーカーのようです。笑

 

つまりどういうことか?

触媒は、少しあれば全てなしとげる

のです。

 

1つの触媒がどれだけ役目を果たすのか、

つまり、触媒が他のものをどれだけ反応させたか

を表す指標の1つに

    触媒回転数 (TON =TurnOver Number)

というものがあります。

 

f:id:sailch-s:20200627180614j:plain 

 

数値が大きいほど、触媒としての性能が高いです。

理論上は「TON=無限」ですが、

実際はそうもいかずに途中でへこたれます。笑

 

それでも、TON=数十万とかになります。

「1人で数十万人分の仕事をする」みたいな感じです!!!

 

 

いかかでしょうか。

かなりざっくりと曖昧な説明になってしまいましたが、

方法を変えることで、不可能を可能にするもの

というものだと思います。

 

 

あまり表だって出てくることのない触媒ですが、

今後さまざまな化学の課題を解決するものとして、

研究が盛んに行われています。

触媒の開発が、いまアツい!

 

ながくなりましたが、

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

ケミストS